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「静かさでは負けていないし芸能人は住んでないけど多分それ以上の数の熊は住んでる。」
と冗談で言ったら、笑いながら殴られ、まぶたが紫色に腫れしばらくの間[お岩さん]と呼ばれたヒドイ記憶をこの住宅街に入ると条件反射で呼び起こしてしまう。
ただ、本当に静かな街だ。
こんなウルサイ車で申し訳ないと思ったが次の瞬間、目の覚めるような真っ赤な色をしたフェラーリが追い抜いて行き「アレよりは大分ましか。」ぽつりと呟いた。
やっと二人の待つ桜の自宅に到着した頃には西の空がオレンジ色に焼けていた。
(ピンポーン)
呼び鈴を鳴らすと開口一番「遅い!!」桜の怒鳴り声に迎え入れられ「なら前の日に言えよ…。」「龍!何か言った!?」「いや、何も。」触らぬ神に祟りなしとはこの事だな。
「孝は2階の部屋にいるから!私コーヒーいれてから行くね!」
「はいよ。……はぁ。」
運転の疲れとこれから始まる打ち合わせへの気だるさに出発に似たため息をついた。
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