ヒュウ編 わがままな依頼者

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「へへっ、さっきはよくもやってくれたな」 後ろにいた山賊が再び斧を振り落とした。 すぐ横に転がって避け、ついでに山賊の足を斬り付けた。 山賊が「ぐぁっ」と喚いて倒れこんだ。 「クソッ、見つかったか!」 ヒュウが振り返ると、十人程の山賊達がヒュウの周りを固めていて、中心には親分のツレッドが立っていた。 「なるほど…君ですか。僕の子分達を痛め付けてくれたのは…」 ツレッドは笑みを浮かべて言った。 「アンタがここのリーダーか?…随分ヘラついヤツだな」 「なんだと!貴様、親分に失礼だ!」 兄貴分が吠えて、今にも飛び掛かりそうだったが、ツレッドが手を差して止めた。 「君達は手出し無用です」 「し、しかし…!」 「僕のいう事が聞けないのですか?」 ツレッドは睨め付けながら、ゆっくりと落ち着いた声で言い聞かせた。 すぐに兄貴分は大人しくなった。 「さて、君は見たところ傭兵だね。そこのお嬢さんに雇われたみたいだが、いったいいくらで雇われたんだい?」 「1万ぐらいだが…?」 「なら、その二倍出そう。僕の片腕にならないかい?」 「「なっ……!」」 その言葉に、その場にいた山賊達全員が驚いた。
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