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玄関にはフレイヤが腕を組んで壁に寄り掛かって立っていた。
「遅いわよ!」
「悪い」
相変わらずの高飛車ぶり。
「そういえば、あの山賊の親分、どうするの?アンタが担いで持ってきたみたいだけど…」
「ああ、役人に引き渡すさ。あいつ、お訪ね者みたいだからな」
「ハイ、これ報酬!」
と、大きめの麻袋をヒュウに放り投げた。
キャッチした時、ズシッと重さを感じた。
「なんか多いぞ?いいのか?」
「アンタには……その……助けられたから…」
「ああ、そういう事…」
フレイヤは目を背けて、言ったが、ヒュウは気にしなかった。
「…じゃ、報酬はいただいた事だし、これでおさらばだな」
ヒュウが玄関の扉を開けた。あのワガママから解放される。
「あ、ヒュウ?」
「ん?」
「明日、ファーティマに用事があるんだけど、護衛頼めな~い?」
「え゙っ?」
ヒュウは耳を疑った。聞きたくなかった。
「だって、あれだけ私の言う通りにしてくれた傭兵はヒュウが初めてなんですモノ!こんな都合のいい傭兵は滅多にいないわ!」
「もう勘弁してくれー!」
すぐにヒュウは逃げ出した。
翌朝、ヒュウの泊まってる宿屋にフレイヤが押し入ってきたのは言うまでもない。
~Fin~
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