マーク偏 小さな盗賊

3/22
前へ
/70ページ
次へ
「おい…これ、どういう事だ!?」 「…………何でもいいだろ…オッサンには関係ない」 尋問するように聞いたが、少年はそっぽを向いて言った。 「オッサンじゃねぇ!まだ25だ!」 「11歳の僕から見れば充分オッサンだね」 「……っのガキ!」 マークが少年の胸ぐらを掴んだ。 「!!」 「どういうつもりでスリなんざやったのか知らねぇが、本当は役人に引き渡してやってもいいんだぞ!いい加減に…」 「やめて!お兄ちゃんをいじめないで!」 少年に怒鳴り付けてる最中に、後ろの壁から少女が顔を出して叫んでいた。 歳はこの少年より下、8歳くらいだろうか。 「ナユ!危ないから隠れ家で待ってろって言ったろ!」 「だって…」 ナユと呼ばれた少女は今にも泣きそうな顔をしている。 「チッ……これじゃ俺が悪いみたいじゃねぇか!」 と、マークが少年から手を放した。 「……で、どういう訳か聞かせてくれるか?」 「……僕はシキ。コイツはナユ、血は繋がってないけど僕の妹だ。二人で町の隅っこにある孤児院で引き取ってもらってる」 町の隅と言えばスラム街だ。 「…でも、今院長は病で床に伏せている。薬は全部、ここの領主が独占して、相場より高い値段で売り出すんだ」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加