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「おい…これ、どういう事だ!?」
「…………何でもいいだろ…オッサンには関係ない」
尋問するように聞いたが、少年はそっぽを向いて言った。
「オッサンじゃねぇ!まだ25だ!」
「11歳の僕から見れば充分オッサンだね」
「……っのガキ!」
マークが少年の胸ぐらを掴んだ。
「!!」
「どういうつもりでスリなんざやったのか知らねぇが、本当は役人に引き渡してやってもいいんだぞ!いい加減に…」
「やめて!お兄ちゃんをいじめないで!」
少年に怒鳴り付けてる最中に、後ろの壁から少女が顔を出して叫んでいた。
歳はこの少年より下、8歳くらいだろうか。
「ナユ!危ないから隠れ家で待ってろって言ったろ!」
「だって…」
ナユと呼ばれた少女は今にも泣きそうな顔をしている。
「チッ……これじゃ俺が悪いみたいじゃねぇか!」
と、マークが少年から手を放した。
「……で、どういう訳か聞かせてくれるか?」
「……僕はシキ。コイツはナユ、血は繋がってないけど僕の妹だ。二人で町の隅っこにある孤児院で引き取ってもらってる」
町の隅と言えばスラム街だ。
「…でも、今院長は病で床に伏せている。薬は全部、ここの領主が独占して、相場より高い値段で売り出すんだ」
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