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ハルク傭兵団が解散して一年…
十五歳となったヒュウは、プリアモス国内の町にいた。
酒場で依頼になりそうな話がないか、店主に話を聞こうとカウンターに座った直後、いかにも貴族のような娘が酒場に入ってきた。
「何で貴族がこんな小汚い酒場に来るんだ?」
そう思いながら主人に薄い酒を頼み、静かに飲んでいた。
娘は酒場を見回しながら歩き始め、何か気付いたかのようにヒュウに目を止めた。
「ちょっと失礼。あなた傭兵かしら?」
「そうだけど?」
マントを着て、武器を持っているなら普通は傭兵だとわかるだろう。それが正装のようなモノだからだ。
「なら、プリアモス首都まで私の護衛を依頼してもいいわよね?」
「まぁ、問題ないが…」
(どうせ暇だしな)
「なら…、ハイ!」
娘は小さな袋を、ヒュウのテーブルの上に投げた。
中には銀貨が乱暴に詰め込まれていた。
「前金ならそれぐらいで充分でしょ?」
「…随分いきなりだな。護衛ならもう少し慎重に選ぶモンだけど…」
「細かい事は嫌いなのよ。ほら、契約書書いたらさっさと行くわよ」
と、ザツな文字が書かれた紙をテーブルに滑らせ、羽ペンを手渡された。
ヒュウが書き終わらない内に、紙を取り上げられ、娘が「うん」と頷く。
「なら早く準備して。…私、カリフェン家のフレイヤ・カリフェン」
「…俺はヒュウだ」
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