ヒュウ編 わがままな依頼者

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あの後すぐに町を出た二人は、森の中を黙々と歩き始めた。 いや、黙々という表現は間違いだ。 フレイヤは、すぐに「疲れた」だの「足が痛い」などと喚き出し、場合によっては「依頼主の命令だ」などと言って、ヒュウに背負わされたりした。 飯一つにしても一苦労だった。 携帯用の食料である、乾燥したパンや干し肉は 「こんな貧相なモノ、私は食べない!」といいはって口にしない。仕方なく果実や野兎、魚などを狩るハメになった。 他にも、何の前触れもなく「肩が凝った」「喉が乾いた」と喚き出し、一々それに世話を焼いた。 本当、手に負えないボンボン娘なフレイヤである。 いい加減、我慢できなくなったヒュウは依頼を断る話を持ちかけた。 「…なぁ、前金返すから一人で帰ってくれないか?」 「嫌よ」 即答で交渉決裂である。 「ヒュウはやっと見つけたムサ苦しくない護衛だもの。他の傭兵ってみんなゴツイ人ばっかりだものね。アンタはまだマシだったから…」 「俺を選んだ理由って…それか?」 「何よ。まさか私がヒュウに一目惚れでもしたと思ったの? だとしたら、冗談にしたって笑えないわね」 「…全くだ…」
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