ヒュウ編 わがままな依頼者

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フレイヤは山賊から逃げてきてヒュウの後ろに周り込んで隠れた。 「いいから助けなさい!仮にも私の護衛でしょ?」 「…あ~あ、もう嫌だ…ったく。おい、山賊共!俺が相手だ!」 「何だ、この弱そうなガキは?やっちまえ!」 山賊の内の三人がヒュウに襲い掛かってきた。山賊が斧を振り下ろしたところを受け流し、襲ってきた三人に一撃入れてやった。 山賊達は「ギャッ」と悲鳴を上げて倒れこんだ。 「不本意だが、こんな女でも今は雇い主でね。仕事はキッチリやらしてもらうよ。痛い目見たくないならさっさと帰るんだな」 ヒュウは山賊達を睨み付け、槍を向けた。 「うっ…アニキ…コイツかなり強いですぜ…」 攻撃を受けて倒れた山賊がゆっくり立ち上がって言った。 「クッ…!野郎共、引き上げだ!クソガキ、覚えてろ!親分はこの程度じゃ済まないからな!」 「…そうかよ」 ヒュウが不適な微笑を浮かべながら指をパキッと鳴らした。 山賊のアニキ分はそれにビクッとして逃げ出した。 「…格好わるいわね、アイツら…」 フレイヤは目を据わらせて言った。 「山賊なんて、大概あんなモンだ。余計な時間食っちまったな。もう行くぞ」 「え~!アイツらのせいで全然休めなかったじゃない!」 「戻ってこられたら面倒だ。また襲われるぞ」 フレイヤは頬をプクッと膨らませて歩きだした。
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