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_ あれから歩き続けて数時間。
今だに森を抜けない。そろそろ平原に出てもおかしくない頃だが、一向に山から出る気配がない。
それに…
「おい!」
先頭を進むフレイヤをヒュウが呼び止めた。
「何よ?」
「本当にこの道あってるのか?さっきから同じところばかり歩いてる気がするのは俺だけか?」
フレイヤは数秒間沈黙したが、やがて口を開いた。
「…気のせいじゃないわ。迷った」
「…呆れてモノも言えねぇよ」
「だって!何度も通ってるから大丈夫だと思ったし…」
「もういい…どうやら俺達はまんまとはめられたようだ」
「…え?」
「しかも今度は二十…いや、三十人ってところか?」
ヒュウは、そっと背中に背負ってる槍に手をかけた。
そしてまだ訳が分かってないフレイヤに、小声で
「武器を構えろ」
と言った。
そう言った瞬間、山賊達が一斉に表れた。
その中には、さっき撃退した山賊達の姿もあった。
「やっと見つけたぜ!ガキ共!」
「ホント、しつこいわね…」
「嫌なヤツらと合っちまったな…」
「っるせぇ!やられっぱなしじゃ、このツレッド山賊団の名が折れるんだよ!
どうだガキ!?いくら貴様が強くても、女を守りながらこの数を相手にはできないだろ!」
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