ヒュウ編 わがままな依頼者

8/16
前へ
/70ページ
次へ
「ハァ…ここまで来れば、一先ず大丈夫でしょう」 1キロ程逃げた場所で、フレイヤは、一息ついた。 「…にしても、下品な山賊達ね。かよわいレディーをしつこく追い回すなんて…きっと私がかわいいせいだわ。ああ、私って罪な女」 …自信過剰である。 上品な山賊などいた方が恐い。 「いや、大変な目に合ったようだね」 後ろから声をかけられ、ビクッとして振り返ると、スラッとした優男が立っていた。 「貴方は誰なの?」 念のためにレイピアに手をかけた。 「申し遅れた。僕は山賊団長のツレッドです」 「!!」 それを聞いて、フレイヤはすぐにレイピアを抜いた。 いたよ…上品な山賊が…。 「フフッ…。そんなに恐がらなくても、すぐに殺しはしないよ。あなたなら、一晩は生きていられる…」 「このケダモノ!アンタ達なんかに捕まってたまるモンですか!」 「ハハ…気が強いんだね。好みだよ、今夜が楽しみだ」 と言って、ツレッドが腰に刺してある剣を抜いた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加