卒業

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『校歌斉唱。』 体育館の中にひびく声─── この校舎で過ごした日々、結花と出会った日々が遠い昔のことのように思える‥。 みんなが歌っているのをききながら、僕はいろんなことを思い出していた。 初めて結花と話した時のこと。弘が屋上のドアを壊して密かに2人で屋上で戯れたこと━━ そしてその屋上に弘に内緒で結花を連れてきたりしたこと‥‥‥ 結花から重大ニュースをきかされたのも屋上だった。 体育祭で結花の病気がわかったこと。 色々あった‥‥‥ きっと今結花はこの体育館の景色を忘れないようにずっと見ているのだろう‥。 結花の方を振り向くと目が合う。 そしてそれに気付いた結花が笑いかけてくる。 結花のその笑顔がほんとに可愛くて、僕は慌てて前を向いた。
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