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('、‘*川「おぼえていなくても無理はないわね。…陸地には大した影響がなかったから。
でも、その地震のせいで大きな津波がきたの」
ξ゚⊿゚)ξ「…!」
思い出した。VIP湾沖地震ーーーVIP湾沖大津波。
地震によって発生した津波に飲まれてたまたま釣りにきていた男性二人が飲まれた事件。
――確か、事件発生後数年にもかかわらず、その二人は発見されていないはずだった。
('、‘*川「…彼がその日釣りに行った場所は、VIP湾だったのね…」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
('、‘*川「彼も友達もまだ見つかってない…。遺体は見つかってない…。
だから、私はいつか彼も帰ってくるって信じてる。
だけどね、」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
('、‘*川「…やっぱり寂しいのよ。今までずっといっしょに居たのに急にいなくなっちゃって。
心にぽっかり穴があいたみたい。
あの日、彼を許してあげられなかったのをほんとに後悔してる。
一度だけでも好きだって伝えられなかったことを、後悔してる。
彼が居なくなって初めて、何気なくいっしょにいた日々がどれだけ素敵だったかって
気付いたの。
だからね、ツンちゃん、いっしょに居られるだけでも幸せって思いなさい。
いっしょに居られれば、想いを伝えるチャンスなんていくらでもあるはずよ。
頑張りなさい」
ξ゚⊿゚)ξ「…先生…」
('ー‘*川「…暗くなる話でごめんね。でも、何気ない日々を大切にする、これだけは
心にとめておいて。
…さ、あなたは寝ておきなさい。内藤くんがきたら起こしてあげるから」
ξ゚⊿゚)ξ「…はい。ありがとうございます」
('ー‘*川「はい。じゃあカーテン、閉めるわね」
カーテンを閉められたベッドの上でツンは天を仰いで寝転がった。
カーテンのむこうで、伊藤先生が椅子に座る音が聞こえた。
カリカリとペンを進める音がする。
もう寝るしかないので瞼を閉じようとしたとき、どうしようもない程の頭痛が襲ってきた。
「…痛っ」
痛い。頭が痛い。ハンマーで頭を殴られてるみたいだ。
こめかみを押さえる。まだ痛い。それどころかなお痛みは増してくる。
痛い、痛い、痛い。
頭に振られるハンマーはさらに強くなってきた。
ξ ⊿ )ξ「…ぁあ」
声が漏れる。
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