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「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
まだ姫鈴が10歳の頃。
姫鈴は優しくて綺麗な姉が大好きだった。
とても綺麗な空だったあの日。
姫鈴は外で空を見ていた。
「…―?」
庭の木の陰に見知らぬ女が立っている。
「貴方、だぁれ?」
恐る恐る尋ねる。
『……』
答えない。
「何しに来たの?」
『………』
突然女が呟く。
『貴方の……』
その後は上手く聞き取れなかった。
いつの間にか眠りについていた姫鈴は目を覚ました。
「ん…」
空は暁色だ。
「お家に帰らなきゃ」
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