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「遥太~!起きなさい~!!」
部屋のドアに トントン、とノックする音が響きわたる。
母親が僕の名前ーー遥太(はるた)ーーを呼んでいる。
「起きないと遅刻するよ~!」
いつもならこう続くのだが、今日はそれが聞こえてこない。
なぜなら…
今日は高校の入学式だ。特別な日だ。
朝からうるさい自分の声を、僕に聞かせまいとする母親の優しい配慮だろう。
母親は再度優しく、トントントン、とドアを叩いて、リビングに去っていったようだ。
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