1章・希望と不安

2/18
198人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
  「遥太~!起きなさい~!!」   部屋のドアに トントン、とノックする音が響きわたる。   母親が僕の名前ーー遥太(はるた)ーーを呼んでいる。   「起きないと遅刻するよ~!」   いつもならこう続くのだが、今日はそれが聞こえてこない。     なぜなら…   今日は高校の入学式だ。特別な日だ。 朝からうるさい自分の声を、僕に聞かせまいとする母親の優しい配慮だろう。   母親は再度優しく、トントントン、とドアを叩いて、リビングに去っていったようだ。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!