起点礼拝読本

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「う、うわぁあぁぁ!?」  今俺のいるビルの下で、大の男が二人ほど、叫び声をあげながら走っていくのが目の端に見えた。  無意味な思考螺旋から意識を引き戻し、視線を向ける。  雄叫びじゃないから、何かから逃走している最中だと思われる。  彼等は殺人犯である。前途の、法の外に出たために殺人を犯してしまい、結果賞金首にまで仕立てあげられた可哀相な人種。  しかも最近、殺人の発端が冤罪からであったことが発覚した、哀れすぎる者達である。  むしろ誤審した裁判員が法で裁かれるべきかもしれない。  ただ、余計な殺人を犯している時点で同情の余地はない。  こちらとしても、仕事は仕事だ。片付けさせてもらおう。
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