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私は結局、あの雑貨屋さんの前まで来てしまった。
私が買ってしまった物について訊きたかったからだ。
扉を開けると、前みたいに薄暗い部屋に明かりが灯った。
「いらっしゃいませ。おや、確か…ゆうこ様ですね?」
「は、はい。あの…、この前買ったものについて、伺いたい事があるんですけど…いいですか?」
「えぇ、答えられる事ならどうぞ。ただし、前も申し上げましたが、返品は不可ですよ。」
「…はい。」
「では、奥で話しましょうか。」
「あの、キレイな女の人は、今日はいないのですか?」
「はい。ロゼ様は只今、外出中です。」
「…そ、そうですか。」
「では、奥へ。話ついでにお茶でもいかがです?」
「…お願いします。」
奥に案内される時、そっと、胸の傷に触れてみた。
正確には、傷があった場所に触れてみた。
普通の肌の感触…。
まるで、始めから傷などなかったかのような…肌の感触が指に残った。
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