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「美里せんせぇー!!」
保健室に入るなり、突然篤志が叫んだ。
机に向かってた女の人がこっちを振り返る。
「また樋口君?サボりもいい加減にしなさいよー……って、あら?」
「こいつ、なんか体調悪ぃみたい。寝かせてやってくんねぇ?」
「別に僕は体調悪くない」
反抗する昴に篤志は「うっせ」と言ってからベッドに降ろした。
「別にいいけど……。あら、あなた樋口昴君ね?神童って噂の、あの」
「はぁ……まぁ」
昴は別段神童発言を否定する事もせず、肯定の返事をした。
なんと言うか、本当に思い切った性格である。
「ほんっとに綺麗な顔ねー……」
「美里先生、食べちゃ駄目よ?」
「……篤志キモイ。」
「食べないわよ、だってこの子生徒だし。……それより樋口篤志君。あなたは今から授業でなくて?行かないって言うならこの前のアレ、担任の先生にばらしてもいいんだけどなー?」
「ス、スンマセンっ!行って来ます!!」
いきなりくるりと向きなおり、篤志は保健室を出ていった。
「じゃ、僕も戻りますね。ご迷惑おかけしました」
そう言って立ち上がろうとした昴のでこを、美里は指で強く押しベッドに仰向けに寝かせた。
そして、昴を覗き込みながら
「私もこんなナリでも一応保健の先生です。あなた、顔が青白いわよ。寝て行きなさい」
「青白いのは元々で……「くちごたえしない!!寝なさい!!」
「……はい。」
昴は美里には口喧嘩で勝てそうにないので寝る事にした。
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