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「なぁ、暗くて、じめじめしてて、固くて狭い所って……。アツはどんな所だと思う?」
その日の晩、昴は篤志の部屋へ行っていつものように格闘ゲームをしていた。
「はぁ~?何だよ、いきなり」
「なんかそんな夢を見た……」
昴は、そう言いながら、カチャカチャッと超必殺技を巧みに捻り出す。
「あ゛っ!!?」
自分のキャラがサクッと投げ飛ばされて行くのを見て、アツが変な声を上げた。
「~~~!おいスバ!!今の技は喋りながら出来るような技じゃねぇよな!?」
「知らないよ。出来ちゃったんだから」
「ぐわ~っ!にくったらしいぃ~!!」
「ハイハイ」
コントローラーをベッドに投げ捨てながら、篤志が言った。
「暗くてじめじめしてて狭いって言や、トイレとかじゃね?」
「トイレ……や、そんなに広くなかったよーな……」
悩む昴を見ながら、篤志が言った。
「なに、そんなに気になる夢だった訳?」
「や、別に。只、妙な現実感が……」
「ふーん……?……よしっ!もう一勝負するか!!」
篤志はそういうと、コントローラーを構え直し、昴に言った。
「早く寝ないと、また遅刻するよ?」
「だぁいじょーぶ!篤志様にゃあ遅刻なぞ怖くなんかねーのよ♪」
夜は、更ける。
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