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「にゃー」
最近良く聞く声に反応して振り向くと、何故だろう、そこにはクロがいた。
クロは、昴の“何か”を確認するかのようにじっと見ている。
「……クロ?お前、なんでこんな所にいんの?」
怪訝に思いながらも、昴はクロに近づく。
その刹那、頭の中に何かが響いた。
『時は来た』
それは、不思議な“音”だった。
そう、まるで、イヤホンから聴こえて来そうな“音”だ。
そして勿論、昴はイヤホンなどしていない。
「……え?」
何処から聞こえたのか確認する為、キョロキョロと辺りを見回してみたが、回りには遅刻を免れようと必死な生徒しか見られない。
もう一度視線をクロに戻した。
「あれ?クロ?」
だが、そこにはクロはいなかった。
キーンコーンカーンコーン…
「ぅぁ!やばっ!!」
昴は、HRが始まる事を合図する鐘の音に疑問を隅においやり、焦りながら校門へと走った。
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