2.覚醒

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「橋本ー」 「はい」 「樋口ー。やっぱりいないか。みやし「はいっ!樋口居まっす!!」 昴は、教室のドアを勢いに任せてスパァン!!と開いた。 「おー。またギリギリだぞ、樋口。昨日のアレは何だったんだ」 先生は、わざとらしく溜め息をつく。 「すいません!」 「まぁ、座りなさい」 「はい!」 「次、宮下ー」 教室は、くすくす笑いに包まれている。 席に座りに行く時も、「樋口、ナイスタイミング」とか「今日は晴れだな」とか言われ、こづかれた。 そして、またいつもの日常が始まった。 (そう言えば、どうして校門にクロが居たんだろ…。) 昴は、ふと今朝の出来事を思い出す。 クロは、とても賢い猫で、昴が黙れと言うと鳴かなくなるし、昴が呼ぶといつの間にか傍らに居るような猫だ。 (まぁ、クロの散歩道に校門が追加でもされたんだろ) なんとなく違和感を感じた昴は、チラリと横目で校庭を見た。 …冊の外に、誰かがいる。 いや、誰かがいるの位は普通の事だろう。 だが、それは異様な者に思えた。 紫色の長髪の、黒服に包まれた少女。 その傍にはクロ。 クロが自分以外になつくなんて、珍しい……。 (て言うか、誰。)
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