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四畳半のこの部屋には、現在二人が同室中である。
この部屋には、薄っぺらいカーテンが一枚だけなので、大抵は眩しさに勝てずに目がさめる。
「にゃー」
「……んあぁ……?」
昴[すばる]は、猫の声で目が覚めた。
時計を見たあと、自分の枕元に座っている、黒猫に、欠伸をしながら挨拶をした。
「おはよ……クロ」
猫はもう一度、にゃーと鳴くと、窓際へ移動した。
「ん゛~、まだあと3分寝れたのにーー……」
昴は、伸びをしながら猫に文句を言った。
もう一度ベッドに寝転がり、寝ようと目を閉じる。
だが、瞼を透けて入ってくる光が眩しすぎて、とても寝れそうにないな、と思い、大人しく着替える事にした。
この少年の名は、樋口[ひぐち]昴。
ここ、樋口孤児院で暮らす子供の中でも、一番の年上だ。
昴は、小さい頃にここに来た。
院長曰く、『突然現れた』らしい。
昴には、親族がいなかった。
自分の名前も、歳も、何も解らない。
だが、高校3年なので、一応は17歳の筈だ。
……だが、身長が低い。
155が、有るか……無いか、ぐらいだ。
昴曰く
『身長に回る筈だった栄養が、全部他に回ったんだ!』
らしい。
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