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そして昴は、いつもよりゆっくり朝食を済ませたあと、いつもより10分余裕を持って、樋口孤児院を出た。
「「「行ってきまーす!!」」」
昴、未来、那由多は、同じ高校に通っているので、一緒に学校へ行く。
……筈なのだが、いつもは昴の出発が遅いので、今日は久しぶりに一緒に登校だ。
いつも昴は、孤児院で唯一の同年の篤志と、ギリギリの時間に孤児院を飛び出す。
「……歩いて学校に行くのは久々だなぁ」
朝の空気をゆっくりと吸い込みながら昴が呟いた。
「いつもは篤志と一緒に満ダッシュだもんなー♪」
「しかもすーくん、あっちゃんほっといて一人でぶっとばして来てるし」
「アツが走るの遅いんだよ!」
「「いーや、昴(すーくん)が早すぎるんだよ」」
昴の反抗に、双子は真実を添えて返してやった。
拗ねる昴とからかう双子、いつもと同じ穏やかな景色だ。
そうしているうちに学校に着いた三人は、軽く挨拶をした後にそれぞれのクラスへ向かった。
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