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昴が教室に入ると、教室の空気がざわっとなった。
その内一人が、青ざめた顔で昴に声をかける。
「ひ、樋口……。おまっ……、なんでこんなに早いの……?」
「あぁ、それは僕の猫があさっぱらから……」
が、昴の台詞が最後まで紡がれる事は叶わなかった。
「誰かぁ!!傘持って来た奴いる!?」
途端、そこら中で、「あぁっ!ねぇ!!」「私はあるわ!」など言う返答が返って来る。
「……皆……!僕もたまには早起きぐらいするんだよ!!!!」
昴が大声を出すと、クラス中から笑い声が返って来た。
「……ははっ!そんくらい解ってるって!」
「かっ……、からかったな!!!?」
ぷりぷりとブーたれた昴を全員が慰めている内にベルが鳴り、ドアがガラッと開いて、担任が入って来た。
「なぁに朝っぱらから騒いでんだぁ?ほら、席着け席!……って樋口!?お前、なんでちゃっかり席に着いちゃってんだ!?」
また、クラス中が笑い出した。
「あーもー、先生まで!!!!」
「…今日は雨だな、樋口」
「先生、今日は100%晴天です!」
いつもより早く学校に着いた、けどいつもと同じ朝。
そして、いつもと同じようにHRは過ぎて行った。
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