1.異変

7/11

6188人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
昴が教室に入ると、教室の空気がざわっとなった。 その内一人が、青ざめた顔で昴に声をかける。 「ひ、樋口……。おまっ……、なんでこんなに早いの……?」 「あぁ、それは僕の猫があさっぱらから……」 が、昴の台詞が最後まで紡がれる事は叶わなかった。 「誰かぁ!!傘持って来た奴いる!?」 途端、そこら中で、「あぁっ!ねぇ!!」「私はあるわ!」など言う返答が返って来る。 「……皆……!僕もたまには早起きぐらいするんだよ!!!!」 昴が大声を出すと、クラス中から笑い声が返って来た。 「……ははっ!そんくらい解ってるって!」 「かっ……、からかったな!!!?」 ぷりぷりとブーたれた昴を全員が慰めている内にベルが鳴り、ドアがガラッと開いて、担任が入って来た。 「なぁに朝っぱらから騒いでんだぁ?ほら、席着け席!……って樋口!?お前、なんでちゃっかり席に着いちゃってんだ!?」 また、クラス中が笑い出した。 「あーもー、先生まで!!!!」 「…今日は雨だな、樋口」 「先生、今日は100%晴天です!」 いつもより早く学校に着いた、けどいつもと同じ朝。 そして、いつもと同じようにHRは過ぎて行った。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6188人が本棚に入れています
本棚に追加