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HRが終わり、一時間目授業の終わりの合図がなる。
昴が次の授業の準備をしようとした瞬間、教室のドアが、バァン!!と、けたたましく開いた。
「スバーー!!てめーこの野郎!!!!」
昴に向かって睨みをきかしながら凄い速さで近づいてくる男がいる。
とても長身で、軽く186cmぐらいはありそうだ。
頭は短く切りツンツンと立った金髪で、耳にはピアスがついている。
そんな男子生徒に、わざとらしいまでの昴は爽やかな笑顔で挨拶した。
「やぁ、おはよう、アツ」
「おう、おはよ♪……じゃねぇっ!テメェ何早起きとかしちゃってんだよ!?」
アツこと樋口篤志[ひぐち あつし]は昴の制服の襟をぐいっと引っ張る。
クラス中がひぃっ!と恐ろしげな声を上げた。
「あーもー、襟ひっぱんないでよ。破れたら院長先生に怒られんのは僕ら二人共だし?」
「い゛っ!!!?」
対する昴は、いやに涼しい顔で篤志の腕をつねる。
あまりの痛さに顔をしかめた篤志は思わず手を放した。
持ち上げられ、中に浮いていた昴はすたっと床に降り、篤志に向かって言った。
「なんか今日はクロに起こされて起きたんだよ。朝からニャーニャー鳴いて……」
「……鳴いた?クロが?しかも朝っぱらから?」
「そう、朝から。おかげで目が覚めてさぁ……」
「朝っぱらからクロが鳴くって……。それ、夢じゃねぇのか?」
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