2698人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫か!? 怪我はないか!」
巨大な声にびっくりして健太と美紀は思わず前に倒れこんでしまう。後ろを向くと健太と同じくらいの身長で筋肉質な男が立っている。髪は短く、服装は黒ズボンにワイシャツである。健太はどこかで見たことがある制服だと思った。男は笑顔で手を差し出し、立ち上がるのを手伝おうとしている。
「ありがとう」
男の豆ができているゴツゴツした手を借りながら立ち上がった。同様に美紀にも手を貸した。
「礼はいらないぜ! 俺は勇樹!よろしく!」
勇樹は健太と対照的で明るく大きな声で言った。
「勇樹さんは一人ですか?なら一緒に行動しませんか?状況を確認できるまででも構いません」
美紀は満面の笑みを浮かべた。この無邪気な笑顔で言われたら断りにくいのだろう。勇樹の顔は紅潮している。
「え!? いきなりだな! まぁ良いが……協力した方が有利かもしれないしな!」
「じゃあよろしく!」
美紀と勇樹は握手をした。仲間が増えて安心できたが、健太は素性の分からない2人を警戒することにした。
「勇樹君は?」
美紀は辺りを見回した。いつのまにか勇樹が姿を消していた。「おーい!健太!武器だぞ!」と遠くから勇樹の声がした。
最初のコメントを投稿しよう!