招待

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「ここは……」  辺りは一面闇。何も見えない。手を前に出すが闇を掴むだけだ。  いきなり視界が明るくなり、しばらく目を開けていられなかった。慣れてくると目の前に人が立っているのが見える。足から頭を見上げてみるがフードを深く被っているので顔は見えない。周りを見渡すと部屋は壁や床や天井が真っ白で、目の前に立っている人の黒と対称的である。何か違和感を感じた。そう…影がないのだ。 「お前は誰だ?」 「私に名などは無い。18歳……須田健太…」  フードを被った者の声は低くて聞き取りずらい。しゃがれた声や広い肩幅,骨格から推定して男だろう。 「なぜ俺の名を?」  健太と呼ばれる男は名前を知られていて動揺している。知り合いに拉致監禁するような不審者は居ないはずだ。記憶をさかのぼってみるが思い出せない。代わりに頭に針が刺さったような激痛が走り、反射的に頭に手を当てていたが、男は構わず続けた。 「今からゲームをしてもらう…7日間生き残れば君の勝ち…そうすれば元の世界に戻しましょう…」 「ゲーム?なんで俺が……あんた頭大丈夫か…」 と健太が言うと、男は嘲笑しながら手を叩いて「怪我は治っているようだな。まぁせいぜい頑張れ」と返した。その時、健太の意識が途絶えた。
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