開始

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「ここは?」  健太はゆっくりと起き上がると、そこには見慣れない風景が目の前に広がっていた。痛い頭を無理やり起こしたせいで倒れそうになったのでゆっくりと辺りを見回し状況を確認する。どこかの家のようだ。隣の家がすぐそばに見え、窓から手を出せば触れるほど近い。これでは日が入らない…窓を付ける意味はあったのだろうか?と人の家に対して文句を言う余裕はあった。部屋の中にはベットやタンス、机があり、机の上では教科書が散乱している。カーテンや布団のカバーの緑色からして男の子の部屋だろう。 「さっきのは一体…」  健太は荒い呼吸を落ち着かせるためにベットの上に座ってみたが、声を出してしまうような痛みが尻に走った。 「ッ!なんだ?」  学生ズボンのポケットから痛みの根源のそれを出した。携帯電話みたいだがボタンは3つしかない。しばらくそれを握っていると電子音と共に一番左のボタンが光る。一瞬驚いて離しそうになり戸惑いつつもボタンを押すと、携帯の画面に先ほど見た黒マントの男が映った。男の背景が白いので先ほどいた部屋のようである。 「元気かな、100人の選ばれし子供達。君達にはゲームをしてもらいます。7日間この街でサバイバルです。7日間生き残れば元の世界に戻しましょう。死んだら終わりです」 死んだら終わり…? その言葉に思わず鳥肌が立った。ただの夢だと思っていたが思考や五感がしっかりしている。他人の部屋の独特の匂いを感じることが出来るし、拳を握りしめる感覚もある。夢では無いようだ。急に不安という感情が心の奥でざわめき始めた。 「別に敵を殺しても構いません。武器は至る所にあるので。あ、それと今あなた達が持ってるのは携帯地図です。左のボタンはこちらとの電話です。一方的にこちらから連絡するだけですけど。真ん中は地図…地図は赤い点と青い点、黄色い点は敵、味方、武器や食料ですから。一番右は…ミッションの確認できます。ミッションについては後ほどお知らせします」  画面は黒くなった。健太の頭の中で色々な情報が錯綜して処理しきれない。とりあえず立ち上がろうとしたが体の力がフッと抜けた。立ち眩みのせいか……と考えているとその場倒れ込んだ。思わず手をついた場所は重なっていた週刊誌の山だった。不覚にも山が頭に崩れてきた。
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