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痛みのあまりしばらくそのまま倒れていた。目の前をテニスボールが転がっていく。目でテニスボールの行方を追っているとテニスボールは廊下を転がっていく。廊下から熱気が濁流のように押し寄せてきた。さっきは扉が開いてなかったはずである。
そんな怪奇現象を気にするよりも手に感覚が戻ってきたことの方が気になり、うつ伏せから仰向けになるように転がる。背中にゴツゴツと雑誌が当たっているが気にせずにそのまま腹筋を使い上半身を起こし、棚に手を置き立ち上がった。目眩はもうない。しかし真夏の熱帯夜のような熱気はまだ部屋に残っている。逃げるように廊下に出た。
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