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午前7時半。
久しぶりにスーツに身を包んだ飯田泰輔(イイダ タイスケ)は鏡に映った自分の姿を真剣に眺めていた。
小学校3年生から空手を始め、6年生から高校3年生までの7年間、日本一の座を守り抜いた筋肉はスーツを張り、とてもじゃないが見た目は良いものではなかった。
この空手が何かの為になった事はないし、むしろ怖そうと言われたり、Tシャツをピチピチにしか着れなかったりと、悪い事だらけだ。
いくつかの大学から学費、入学費免除での誘いはあったが、もともと空手にそれほど思い入れもないので進学はせず就職を選んだ。
しかし、ろくに今まで勉強してこなかった飯田を採用する企業はどこにもなかった。
未だ内定がもらえず、飯田は焦っていた。
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