慈眼成就

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 聖武天皇は、慈しみの心で疫病や世の中の乱れを治めようと、願われて、奈良の大仏殿建立を勅旨されたという。 ━━━━初めて…★ 奈良の大仏様の、お姿を見上げたのは 私が、5才の時であった。 参拝されている他の方々は、「ご立派ねぇ」とか「でけぇ」とか口々に、大きさだけを称賛していたが、 私は、なんとなく違った感情が湧いたのを、いまでも覚えている。 * ━━━━━それは…★ 私が、生まれて4ヵ月めに高熱にうなされた時に、あらわれた、大きな人に似ていたからなのかもしれないが、 『懐かしい。ここにいたんだぁ。あの時声をかけていただきましたよね』という思いだったのである。 * ━━━━━そして…★ 私は、大仏様の、優しさを受け取り、 『私も、常に優しくありたい。ただ優しいだけでなく我慢強さを磨きたい』という課題は、この時、心に抱いたものなんだ。と、今振り返ると感じたのだと。。。 * ━━━私の宝物…★ この大仏殿を参拝したときに、母が買ってくれた。 《まんが。奈良のだいぶつさま》 と、いう小学低学年より下の子向けの、小冊子で、 大仏様を建立するに至る出来事や、造営する苦労。 また、その大きさをわかりやすく書かれていた。 ━━━━今も…★ 私の蔵書のひとつになっている。 また、なぜか、奈良にいくと、心のくもりが晴れる気がする。 やはり、奈良・明日香は、大和魂のふるさとなんだと、つくづく思う今日この頃の、私なのである。 そして、先人が、慈しむ心を形に残されたのが、 『奈良大仏殿』を代表とする、神社仏閣だと考えれば、ゆめゆめ疎かにしてはいけないことだと、身が引き締まる思いなのである。
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