悲劇の花

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静岡の浜松市に最近併合された、水窪に布滝という、羽衣がヒト反たれさがったるような滝がある。 そこに、咲く黒いユリ それを眺めていたときの思いを詩にシタタメテみました。 * 苔むした岩肌を 流るる布のごとく 雫を集めて 水しぶきとなる 緑に映えて 爽やかなりし 目をこらせば 一輪の花ひとつ 目立たぬよう花びらを ひらく まるで あなたのように * * * * * この水窪という集落は。昔水が集まり、ヒトが集まる山間の町である。 が、ここには悲しい天皇家を追われた皇子の落人伝説があり、その悲しみの中、自分達は出しゃばらず、ひっそりと生きてきますと、いう意志を、私は黒ゆりに感じてしまうのである。
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