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「…ふう。」
あの後俺は、夕食の後片付けを済ませて、課題も終わらせた後に風呂に入って、部屋に戻って来て寝ようとしていたが…
「…だめだ、なんだか今日は寝れないな。こういう時は…」
俺は、ふと窓の外から、暗い部屋を照らす月の光が、俺を導くかのように窓を開けてみる…
「…今日は満月か…」
そこにあったのは、淡く光る満月だった。
「…満月はやっぱり綺麗だな。見ていて、何か魅かれるものがある気がする…」
そんな思いで月を見ていた俺は、ふと思い付き、ゆっくり部屋を出て行く。
「……あれ、兄さん?」
「あっ、麻衣…」
だが、俺が部屋を出た時、隣りの部屋の麻衣と、顔を合わせてしまう。
「どうしたの、こんな時間に?」
おもわず言葉に詰まり
「まあ、ちょっとな…」
そう言うと、麻衣は顔が少し暗くなり
「…危ないこととか、しないでよね、兄さん……」
…別に危ないことをしようとするわけじゃないだが…フォロー入れないとな。
「あ、そんなことするつもりはないから、大丈夫だよ。」
そう言うと、麻衣は安心したように顔が明るくなった。
「なら、良かった。おやすみ、兄さん。」
そう言い、麻衣は部屋に入った。
…麻衣は、ちゃんと俺のこと心配してくれてるんだな…そう思いながら、俺は玄関から、夜空のよく見える外に出た。
「…寝れない時はやっぱり、こうやって外に出て、散歩するのが一番だな。晴れてる日なら、空が見えるし、何より…静かだしな…」
俺は夜空を見ながら、特に行く宛もなく、歩き始めた。
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