始まりを告げる夜

2/2
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「…ふう。」 あの後俺は、夕食の後片付けを済ませて、課題も終わらせた後に風呂に入って、部屋に戻って来て寝ようとしていたが… 「…だめだ、なんだか今日は寝れないな。こういう時は…」 俺は、ふと窓の外から、暗い部屋を照らす月の光が、俺を導くかのように窓を開けてみる… 「…今日は満月か…」 そこにあったのは、淡く光る満月だった。 「…満月はやっぱり綺麗だな。見ていて、何か魅かれるものがある気がする…」 そんな思いで月を見ていた俺は、ふと思い付き、ゆっくり部屋を出て行く。 「……あれ、兄さん?」 「あっ、麻衣…」 だが、俺が部屋を出た時、隣りの部屋の麻衣と、顔を合わせてしまう。 「どうしたの、こんな時間に?」 おもわず言葉に詰まり 「まあ、ちょっとな…」 そう言うと、麻衣は顔が少し暗くなり 「…危ないこととか、しないでよね、兄さん……」 …別に危ないことをしようとするわけじゃないだが…フォロー入れないとな。 「あ、そんなことするつもりはないから、大丈夫だよ。」 そう言うと、麻衣は安心したように顔が明るくなった。 「なら、良かった。おやすみ、兄さん。」 そう言い、麻衣は部屋に入った。 …麻衣は、ちゃんと俺のこと心配してくれてるんだな…そう思いながら、俺は玄関から、夜空のよく見える外に出た。 「…寝れない時はやっぱり、こうやって外に出て、散歩するのが一番だな。晴れてる日なら、空が見えるし、何より…静かだしな…」 俺は夜空を見ながら、特に行く宛もなく、歩き始めた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!