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「今日も寒いね、兄さん。」
「冬だからな、これからもっと冷えるぞ。」
「そりゃそうだけど、でも寒いことに変わりはないよー。」
家から学校までは歩いて15分くらいのところにありほぼ毎日、俺と麻衣は一緒に学校に行く。
「うーん…早く春になると良いなぁ。」
「桜が見れるからか?」
「それもあるけど、私は寒いのが嫌だから春になって欲しいんです。」
「でも、俺は冬が好きだな…」
「…何で?」
「んー…なんとなく。」
「答えになってないよ、兄さん。」
苦笑いをしながら麻衣が言った。
確かに、普通冬が好きな奴はそんなにいないだろう。クリスマスがあるから、なんて答えるほど俺は子供じゃない。でも、昔からクリスマスだからって関係なく冬が好きだった…
それから、俺達は通り道の桜並木を歩いて行く。さっき麻衣が言った桜というのも、この桜並木の分かれ道にある大きな桜の樹のことだ。たぶん俺達の周りで一番大きい樹だろう。
そして、この先に俺達の通う鈴音学園がある。
「それじゃあ兄さん、夕飯楽しみにしてるから。」
「ああ、じゃあな麻衣。」
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