ピアス

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ある若い女性が渋谷へ出かけたときのことだ。   彼女が渋谷の街を歩いていると、突然背後から、 「ねぇ、あなたピアスしている?」 と声をかけられた。   振り向くと、そこにはどことなく陰気な若い女性が立っている。 伏し目がちなので顔はよく見えないが、なかなかの美人であるようだ。 とはいっても、彼女の周りに漂うどことなく不気味な気配が、その美しさをかき消してしまっているのだが…。   しかし、それにしても変な質問だ。 ピアスをしているかどうかなんて見ればわかりそうなもの。 なぜそんなことをわざわざ聞くのだろう?   疑問に思いながらも、彼女は素直にこう答えた。 「えぇ、してますよ。ピアス」   すると、突然その女は彼女に飛びかかり、彼女の耳をピアスごと喰いちぎってしまったのだ。     実はこの女は、ピアスの穴を耳に開けたときに、耳から出ていた白い糸を引っ張って失明してしまった女性である。 それ以後、彼女は精神を病んでしまい、耳を喰いちぎる行為を度々行っているのだという。
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