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汽車が過ぎ去った線路の脇を、アリスはとぼとぼと歩いた。
「ねぇダイナ。いつになったら次の目に行けると思う?」
「うーん そのうち着くとおもうよ」
「…そのうち、かぁ…」
そんな会話を何度も繰り返し、どれくらい経っただろうか。
アリスの耳に、微かな音が届いた。
「この音!!」
下を向いて歩いていたアリスは、はっと顔を上げると、顔を喜びで輝かせた。
「ダイナ!森が途切れてる!水の音も聞こえるよ!!」
「アリス ちょっと待って! なんかヘンなカンジが… アリスってばぁ!!」
心配そうに言い出したダイナの言葉を聞かずに、アリスは喜び勇んで駆け出した。
この調子なら、八の目なんてあっという間かもしれない!
早く、早く。
パパ…ママ…
「アリス!!!」
「っ!?」
鋭く叫んだダイナの声に、アリスは思わず立ち止まった。
ヒュンッ
その瞬間、黒い何かがアリスの目の前を凄いスピードで過ぎ去った。
“ソレ”に驚き、アリスは後ろへと倒れこんだ。
「あーん。外しちゃったぁ」
甘える様な声が聞こえたかと思うと、アリスの目の前に一人の女性が姿を現した。
「一発で仕留めようと思ったのにぃ」
女性は真っ黒なローブを着込み、その美しい顔には似合わない残虐な笑みを浮かべて、アリスを見下していた。
ダイナが毛を逆立てて女性を威嚇する。
「アハハ!! アンタ見たいなゴミに睨まれても怖くないっての!」
高笑いする女性。
アリスはその一点から目が離せずにいた。
呼吸もせず、ただ惹かれるように“ソレ”を見つめる。
「安心してぇ…すぐに真っ二つにしてあ・げ・る」
その手には、身の丈よりも大きい、鈍く光る大鎌一つ。
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