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その運命を変える日は、いつもとなんら変わりのない夏の日だった。
その日は何故か、私が学校から帰ってくるといつもはいない両親が居て――
その日は何故か、二人ともにこやかにリビングに座っていて――
“絶対に近寄っちゃイケナイ”って…そんな予感がしてた。
なのに私は――
心のどこかで、“仲直りしたんじゃないか”って期待してて…
結局パパとママの傍に行ってしまった。
「おかえりなさい、アリス」
ずっと見ていなかったママの笑顔。
「ただいま。今日はどうしたの?」
恐る恐る探るように訊ねるアリスに、母親はより一層笑顔になって答えた。
「ママね、これからパパとサヨナラするの。分かるでしょ?
だからねアリス。アリスはママとパパとどっちと一緒に暮らす?」
…それは…どういうこと…?
「おい、子供にそんなはっきと言わなくたっていいだろ」
「うるさいわね。あんたは黙ってて!!」
頭が真っ白だった。
何を言われたのか、分かりたくもなくて…
ただ、ママの言った“サヨナラ”って言葉が響いてた。
「黙っててとはなんだ!!子供のことにも文句言う気か!?」
「あんたはいつもそうやって、アタシの言うことにケチばっかりつけてるのね!!」
こうしてまた始まった悪夢に、私はどうしていいか分からなくなって――
「もうやめて!!!」
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