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暗闇で目が覚めた。
一番最初に思ったのは、ココは何処だったか。
二番目に思ったのは、体中が痛い。
三番目に思ったのは、目なんて覚めなければ良かったのに。
アリスはズキズキとそこら中痛む体をゆっくりと起こして、いつものように辺りをそっと見渡す。
…そこにはやっぱり、父の姿も母の姿も無かった。
あるのは孤独をより鮮明にするために押し寄せる闇ばかり。
そんな暗闇の中で、アリスはたった一人の親友のいる部屋へと戻って行った。
「みゃーん」
部屋の扉を開けると、ダイナは明るい声で出迎えてくれた。
しかしその姿は、どこかおかしかった。
「…その足…どうしたの?」
ダイナは片方の後足を引きずりながら、よたよたと歩いていたのだ。
リビングの様に荒れ果てた部屋の惨状を見る限り、母親の暴走に巻き込まれたのだろう。
「…可哀想なダイナ…守ってあげられなくてゴメンね…」
私だけじゃなくてダイナまで…
私のたった一人の親友まで痛めつけて、何か楽しいの?
ワタシダケガ、イツモカナシイオモイヲスル。
視界が涙で滲む。
流したくないのに、それはボロボロと瞳から溢れ出て――…
私、もっと幸せな子に生まれてきたかったッ!!!
『ねぇ。何がそんに悲しいのか、ワタクシに教えてくださらない?』
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