Х1Х  僕と空

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『ねぇ、ゼミ一緒だよね?先週授業休んでノートとれなかったの。すぐに返すからノートかしてくれない?』 ぼってりとした唇に、パールいりのグロスを艶やかに塗った口が僕に話しかける。 僕はその艶やかな唇に目が離せないで、一瞬呆けてしまった。 うるんだ瞳が僕をみる。 僕は意識が覚醒して彼女にノートを渡した。 『ありがとう。』 彼女が足早にさっていく。 甘い果樹の香りがする香水が風とともに、僕の鼻孔をくすぐる。 彼女の姿は香りと共に、僕の心の中にはいってきた。
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