序章 世界

11/30
前へ
/63ページ
次へ
車の中で、鏡とはいろんな話をした。 もちろん家の中でも話をするけど、鏡は僕を家まで送ったら、バイトにいかなくてはならない。 そのバイトがなんなのか聞いたことはない。 夜日付が変わるころに帰ってきて、朝まで眠る。 それの繰り返しで、家にいると擦れ違いばかりでろくに話もできない。 だからこの車の中が、鏡とのコミュニケーションの場だった。 する話は、たいしたものじゃない。あそこの店のなになにが美味しかった、とか、じゃあ今度一緒に行くか、とか。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加