序章 世界

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鏡はなるべくゆっくりと車を走らせ、早く着いてしまったら校門の前に暫く車を止めてまで話をした。 それは、楽しかった。唯一の家族である、鏡との触れ合いだった。 二年前に両親が、事故で亡くなって以来、鏡はなるべく僕とコミュニケーションを取ろうとしてくれていた。 その前までは、鏡とは同じ家に住んでいるのに一言も交さないような仲だった。 小さな頃は仲が良かったのに。 それまで冷たい人だと思っていた鏡は、優しくて、出来た兄なのだと思い直すことになった。
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