白黒～赤の欲望～

原因不明

　症状が更に悪化したのは、それから一年たった頃だ。
　その頃には、俺の精神常態も最悪やった。テレビを見ても、家の外を見ても、全ての色が普通やなくて、俺は違う世界に一人取り残された様な感覚で。
　好きやった絵も、描けなくなった。

「夏生。たまには外に出たらどぉ？」

「嫌や。俺は何処にも行かへん……」

　部屋の電気を消し、カーテンも閉め、周りの物を見えない様にした環境の中に俺はずっと込もっていた。
　何一つ目にいれたくない。