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あたしは商品企画2課で勤務してる。比較的真面目に正確にスピーディーに仕事をこなす。業績も鰻登りで気が付けば課長クラスとまでは行かないが重役を任されるようになっていた。
「井口君、ちょっと」
あそこに座っている優しげでお髭がワイルドな人はこの課の課長である。当然、ワイルドですからハイエナ達には人気がある。
「なんでしょうか、課長」
「あぁ。君、今日から1ヶ月商品企画1課に回ってくれない? 聞けば佐々木課長のお知り合いだってッ?会社にまだ慣れてないから、案内して欲しいんだって」
あぁ,なんて神様は残酷なんだ。あたしが課長のお言葉を断れないことを知っておきながら,あたしをハイエナの餌食にしようなんて。
「わッ‥分かりました」
そう言ってふらつく足取りであたしはデスクの上を整理し、経営課へ行く準備を出来るだけ遅くした。
「あれ~?華澄,どっか行くの?」
美南は何故か席が前なので、こうしてしょっちゅう話しかけてくる。
「…1課に1ヶ月転勤だよ」
「ッえぇ―――ッ!?? 何で!?」
「…のりぴーが色々とね…」
そう言っていや――ッ!!!っと叫ぶ美南を無視してあたしは1課に向かった。
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