プロローグ

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車から降りて自宅のアパートへと歩いて行く彼を、私はじっと見ていた。 一緒にいた友達は 「後つけて、彼の部屋に行く?」と私に聞いてきた。 私は「大丈夫…ここで彼の住んでるアパートだけ確認するから」 と友達に言った。 彼は外階段を昇り 部屋の前に立って、鍵を作業着のポケットから取り出す事も無く… 部屋のチャイムを鳴らした。 「お帰りなさ~い」と明るい声がして、部屋の中から赤ちゃんを抱いた女が出てきた。 そう… 彼は結婚していたのだ。 だから、私に電話番号を教えなかったのだ。
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