第1話「新学期」

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「おーっす」 「お、また同じクラスじゃん!」 「北川!」 「なんだよ、西田と同じクラスかよ~」 今日から高校2年生という歴史が幕をあける。 紹介が遅れたが、僕の名前は水野篤史。県立柏山高校、今日から2年生。 部活は硬式野球部。残念ながらレギュラーではないが、レギュラー目指し日々精進している。 「おーい、席につけ」 げっ、担任は嵐山先生かよ。 嵐山先生は熱血体育教師だ。 熊のような大きな体のわりに身動きはなかなか俊敏で、いつも白いジャージを来て、このデジタル時代に竹刀をもっているアナログな先生だ。 僕らは陰で『柏山の白い彗星』と呼んでいる。 嵐山先生はどちらかと言うと人気があるほうだが、僕は先生のいかにも「体育系です」という空気があまり好きではない。 「おはよう!」 教室中に響きわたる先生の声。 「おはようございます」 「なんだなんだ、お前ら!ちゃんと朝飯食ったのか?もう一回!おはよう!!」 「おはようございます!」 「なんだなんだ、こんなに多くいるのに先生の声に負けてるじゃないか。よーし、明日からは先生より大きな声で挨拶出来なかったら、何回でもやり直すからな~。これは宿題だ!」 「え~!!」 「え~じゃない!そんだけ大きな声がでるじゃないか。明日は先生、もっと大きな声で挨拶するからな!」 「ぶー」 「ぶーじゃない。それじゃHR始めるぞ。今日は初日だから自己紹介やるからな。じゃあ、出席番号1番、相田からだ」 「えっ!俺から!?オイオイオイ、聞~てないよ~」 クラス中に笑いが起こる。 「ほら、バカ言ってないでさっさと始めろ」 「ほ~い。相田聡(あいださとし)です。部活は…」 自己紹介が始まった。 僕は自己紹介が大の苦手だ。何を話せば言いかわからない。 他の人の自己紹介も耳に入らない位、何を話せばいいか考えていた。
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