6人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に戻ってきて、俺はすぐに布団の上に座った。
そのとき、妙に自分の体が火照っているのを感じた。
日が沈んでも、汗ばむほど暑い、真夏だということを考えれば当たり前のことなのかもしれない。
でも、この火照りの一番の原因は、熱帯夜なんかじゃなかった。
ふと出かけたコンビニの帰りに、川原の土手で見かけた少女のせいだった。
月明かりに照らされた、少女の横顔は、幻想的ですらあった。
そして、その姿を見たとき、俺の頭の中には運命という文字が浮かんでいた。
だけど、俺は声をかけることもなく、帰って来てしまった。
なんだか、自分自身が恥ずかしかったから。
俺は、それから、布団に横になった。
「それにしても、綺麗だったな…」
俺の頭の中は、さっきの少女で一杯だった。
月明かりのせいだったのか、少し遠かったせいなのか、理由ははっきりとしないけど、少女は、今まで見てきた、どの女の人よりも、魅力てきに見えた。
「声かければよかったかな…」
俺は、一度ため息をついたあと、少女のことを考えのるのを止めた。
あれは、夢みたいなものだったんだ。
所詮俺には、絶対に手の届かない存在なんだ。
そう、自分に言い聞かせながら、また少女のことを考えている、俺が馬鹿らしかった。
最初のコメントを投稿しよう!