第一章 始まりは風とともに

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ここでシギンの起因について、少し説明しておこう。 それは八年前、バースレイ率いる軍隊が、史上最悪の人災と呼ばれる【グラン・インパクト】によって、最大の被害を受けた都市レアルタに出動していた頃にさかのぼる。 兵「た、大変です!生命反応を持った少年を発見しました!!」 バースレイ「…何!?」 バースレイは、医療班の人間に指示をすると、兵士の先導で、少年が倒れているという場所に向かった。 兵「あ、隊長、あそこです!!」 兵士が指差した場所を見ると、其処には確かに、金髪の少年がぐったりと倒れている姿が確認出来た。 バースレイ「医療班!直ちにあの少年の手当てを!」 彼の掛け声とともに、医療班の人間が迅速かつ正確に、少年の治療をし始めた。 医療班「とりあえず大丈夫そうです!少年の命に別状はなく、外傷も少ない様です!」 医療班の一人が叫んだ。 バースレイ「そうか!そのまま少年の治療を続けてくれ!」 医療班の言葉に、バースレイは安堵の表情を浮かべた。 バースレイ達が少年を見つけてから数十分後、少年の目がゆっくりと開いた。 ?「う…ん…」 バースレイは、それを確認すると、見た目はまだ10歳程度の少年に対して質問した。 バースレイ「今から、私の質問に答えてくれないか?君の名前は?ここで何が起こったか覚えているかな?」 すると少年は幾分かこわばった様子で、こう聞き返す。 ?「あなたは…?」 バースレイは、少年が何を言いたいのかに気付くと、少し咳払いをしてこう言った。 バースレイ「ああ、すまない。自己紹介がまだだったな。私の名前はバースレイ、シェンダム王統国軍の小隊長をしている。」 バースレイは少年と目線を合わせ、優しい口調で話を続けた。 バースレイ「…ここにいる人達は、全員私の部下だ。君に危害を加える事は一切無い。約束しよう。」 バースレイがそう言うと、少年は警戒心が解けたのか、少し安心した表情を浮かべて口を開いた。 ?「…ありがとうございます。僕の名前はシギンです。」
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