プロローグ 惨劇の産声

4/4
前へ
/241ページ
次へ
静かな大地に兵隊が行進する音が鳴り響く。 …ザッ、ザッ、ザッ、ザッ… 兵隊達が到着した場所は、まさに地獄絵図と呼んでもいい程の焼け野原であった。 兵「うわ…、こいつは酷い…」 一人の兵士が、目の前に広がる光景に、素直な感想をこぼす。 それに釣られて、周りにいた兵士達が、小声で喋り出した。 ?「そこ!!勝手に話すな!!」 隊の先頭に立っていた男性が、兵士全員に向かって大声で注意する。 兵「す、すいません!」 兵士達は、その声に反応して、列を元に戻し背筋を伸ばす。 先頭に立つ男性は、それを確認すると、軽く咳払いをして、兵士全員に聞こえる大きな声で言った。 ?「まずは、生存者の確認!!生存者がいれば、応急手当をして基地に連れて来い!!それでは、解散!!」 兵「はっ!!」 ここは、戦争によって壊滅状態に陥った、都市レアルタ。 時系列でいえば、戦争が終わって一週間後の話である。 この都市の代表者は、物資の補給を求め、王都に行っていたため無事であるが、残りの市民のほとんどが避難していたため、全市民の90%以上が死亡したと確認されている。 先程から兵士達を指揮していた男性も、目の当たりにした惨状に、希望を見い出せてはいなかった。 ?(まずは一人でも多くの国民を救わなければ…、だが、これでは期待するだけ無駄かもしれないな…。) 男性が考えたその時、一人の兵士が慌てた様子でこう言った。 兵「た、大変です!」 ?「どうした?」 兵「せ、生命反応を持った少年が、ある場所で、一人倒れているのを発見しました!!」 ?「何!?」 男性は、それを聞くや否や、兵士と一緒に走り出した。 …これは、一人の青年が真実を見つけ出すために、世界を奔走する物語である。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

288人が本棚に入れています
本棚に追加