288人が本棚に入れています
本棚に追加
静かな大地に兵隊が行進する音が鳴り響く。
…ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…
兵隊達が到着した場所は、まさに地獄絵図と呼んでもいい程の焼け野原であった。
兵「うわ…、こいつは酷い…」
一人の兵士が、目の前に広がる光景に、素直な感想をこぼす。
それに釣られて、周りにいた兵士達が、小声で喋り出した。
?「そこ!!勝手に話すな!!」
隊の先頭に立っていた男性が、兵士全員に向かって大声で注意する。
兵「す、すいません!」
兵士達は、その声に反応して、列を元に戻し背筋を伸ばす。
先頭に立つ男性は、それを確認すると、軽く咳払いをして、兵士全員に聞こえる大きな声で言った。
?「まずは、生存者の確認!!生存者がいれば、応急手当をして基地に連れて来い!!それでは、解散!!」
兵「はっ!!」
ここは、戦争によって壊滅状態に陥った、都市レアルタ。
時系列でいえば、戦争が終わって一週間後の話である。
この都市の代表者は、物資の補給を求め、王都に行っていたため無事であるが、残りの市民のほとんどが避難していたため、全市民の90%以上が死亡したと確認されている。
先程から兵士達を指揮していた男性も、目の当たりにした惨状に、希望を見い出せてはいなかった。
?(まずは一人でも多くの国民を救わなければ…、だが、これでは期待するだけ無駄かもしれないな…。)
男性が考えたその時、一人の兵士が慌てた様子でこう言った。
兵「た、大変です!」
?「どうした?」
兵「せ、生命反応を持った少年が、ある場所で、一人倒れているのを発見しました!!」
?「何!?」
男性は、それを聞くや否や、兵士と一緒に走り出した。
…これは、一人の青年が真実を見つけ出すために、世界を奔走する物語である。
最初のコメントを投稿しよう!