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バースレイ「…二人には、アークリッド帝国に二週間以内で行ってもらいたい。」
ローディン「…ええと、兄貴。それは真面目な話か?」
バースレイ「うん、大真面目。」
シギン「何か特別な移動手段でもあるのですか?」
バースレイ「いいや、無いな。」
二人「…………。」
バースレイはすがすがしい程の笑顔で答え、二人は再び黙ってしまった。
二人が黙ったのには、ある理由があった。
この世界はコンピュータといった近代文明は発達しているが、飛行手段についてはまだ確立していない。
更に、今二人がいるシェンダム王統国の首都フランダストは、周りを山に囲まれているため、正規のルートでアークリッド帝国まで行けば最低でも20日はかかるのだ。
だが、それはバースレイの意地悪という訳ではなく、れっきとした理由があった。
再び、バースレイの表情が真剣なものになる。
バースレイ「…実は、これはまだ一般には発表されていないことなのだが…、アルスト大陸の一部が崩落した。」
ローディン「何だって!?」
シギン「……!!」
アルスト大陸とは、シェンダム王統国と、アークリッド帝国の間に位置し、現在は連邦によって管理・統制されている大陸である。
しかし、二人が反応を示したのは別の部分にあった。
シギン「…アルスト大陸が崩落したというのは、正確な情報なのですか?」
バースレイ「ああ、間違い無い。すでに極秘で軍の調査班を派遣させたところ、既に大陸全体の約20%が崩落してしまっているらしい。」
シギンが[崩落]という単語に反応するのは、彼の昔の記憶に起因する。
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