極道の世界

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雨が降っていた。 森の奥深く、誰も立ち寄らないような真っ暗な闇に、車のライトだけが光を放っていた。 「おい、さっさとしねぇか」 川田が森岡に叫ぶ。 「はい、ただいま」 森岡がせっせとシャベルで土を掘っていた。 「ちくしょ。強くなってきちまった」 雨がさっきよりも強くなり、川田の顔に焦りがつのる。二人とも、ずぶ濡れになりながら地面を掘続けた。やっと掘終わると川口が 「よし。さっさとこれを埋めちまおう」 と黒いビニールをもちながら言った。 「はい。ところで誰なんすか?」 と、森岡が川田に聞いた。 「よけいな事は聞くんじゃねぇ」 川田の怒鳴り声が森中に響き渡った。 「は、はい。すいません」 森田は震えながら黒いビニールを穴にいれ、土を被した。川田は、しばらく埋めた穴を見ていた。 「川田さん、そろそろ行きましょう」 森岡に言われ車に乗りその場を後にした。 その時、森岡が見た川田の顔はどこか寂しげだった。
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