二人の出会い

1/1
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

二人の出会い

7月23日 今日は学校の終業式だった。 炎天下の中二人の学生が帰っていく。 左側にいるのが田中美沙。今時の女子高生には少ない、黒髪でメガネでみつあみの…言わば一昔前の優秀な委員長と言ったところか。 その容姿に合い、成績はズバ抜けて良かった。それでも威張らず、さっぱりとした性格で妬む者は誰一人いなかった。 右側にいるのは立谷歩。 美沙とは正反対で、金髪のフワフワしたパーマをかけた子だ。 彼女は人なつっこかった。 見た目に寄らず成績は美沙より常に上位だった。けれどそんな事はちっとも気に掛けていない様だった。 そんな二人が何故仲良くなったのか? あれは入学式の翌日。 二人ともクラスに知り合いはいなかった。 座席は名簿順から歩の前は美沙だった。 「美沙ちゃんって綺麗だね!」 歩は後ろを向いて目をキラキラさせながらそう言った。 美沙は読んでた本を閉じて 「そうかな、ありがと。」 とそっけなく交した。 【この女には関わりたくない】 そう思ったに違いない。 だが毎日歩はめげずに美沙に話かけていった。 初めは嫌々返答していたようだったが、美沙は心を開いたのか笑顔が増えていった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!