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二人の出会い
7月23日
今日は学校の終業式だった。
炎天下の中二人の学生が帰っていく。
左側にいるのが田中美沙。今時の女子高生には少ない、黒髪でメガネでみつあみの…言わば一昔前の優秀な委員長と言ったところか。
その容姿に合い、成績はズバ抜けて良かった。それでも威張らず、さっぱりとした性格で妬む者は誰一人いなかった。
右側にいるのは立谷歩。
美沙とは正反対で、金髪のフワフワしたパーマをかけた子だ。
彼女は人なつっこかった。
見た目に寄らず成績は美沙より常に上位だった。けれどそんな事はちっとも気に掛けていない様だった。
そんな二人が何故仲良くなったのか?
あれは入学式の翌日。
二人ともクラスに知り合いはいなかった。
座席は名簿順から歩の前は美沙だった。
「美沙ちゃんって綺麗だね!」
歩は後ろを向いて目をキラキラさせながらそう言った。
美沙は読んでた本を閉じて
「そうかな、ありがと。」
とそっけなく交した。
【この女には関わりたくない】
そう思ったに違いない。
だが毎日歩はめげずに美沙に話かけていった。
初めは嫌々返答していたようだったが、美沙は心を開いたのか笑顔が増えていった。
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