EMBALMING...5

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悲鳴と緊迫... 何なんだ?何の....臭い......? 一体俺はどうしたんだ?誰か現状を教えてくれよ...... 事故発生から15分程して全員が病院へと運ばれた 動揺が隠しきれないで苛つく... 病院は慌ただしく薬品の匂いにむせ返り、意識のある俺達は警察に事情聴取を受けていた。 奥の部屋では あの親子が... 咽ぶ......... 何十分か...何時間か どの位経ったかわからないが 事故に巻き込まれた人達の家族が出入りを繰り返していた。 しばらくして 血相を変えて スーツ姿の中年の男の人が忙しなく走り込んできた。 ....遺族....なのかな...。 それから直ぐ、春海が来た。 『おい、大丈夫かっ!』 と心配気な顔を見せた。 『あぁ、大丈夫、大丈夫。レントゲンも済んだし、打撲で済んだよ。...死人が出たみたいだけど...』 春海は『大事に至らなくてよかったよ.....』 と少し安堵した様だった。 心配してくれたんだな.... 春海は『はぁ...』 と溜め息をついて 『ちょっと奥見てくるよ...』 と行こうとしたのに対し 『俺も...』 と、何だか気になり一緒について行こうとした瞬間、小さな首が俺の足首を噛んだ。 金縛りを裂くような奇怪な動きでその場から逃げまり 小さく震えて泣いていた。 無理もないだろう...あんな形で家族を失う事に成るなんて。 鼻から家族なんていなかった俺達には 失う家族も無いんだな..。 同情する事は簡単だけど、そんな事をしたところで 失った命が戻るわけがない... 手を伸ばしてやる事も.... 医者を呼んだ春海は 『遺体を見せて頂けますか?』 と名刺を渡しながら話しかけた。 医者は二つ返事で 『はい、どうぞ。』 と返したのには驚いた。 『なんで?』 って思うだろ普通。 医者と2人で病室に入って行き 出て来たところで 今度は遺族の男性に話しかけた。 再び名刺を取り出して 『初めまして。私、エンバーマーをしております者で、宜しければ御遺体をお預かり頂けませんか?御家族の時間を戻しましょう...』 と切り出し 男性は苛ついた様子で 『遺体をいじくるのかっ?!』 と返す。 それから 『部屋用意しますので...』と医者が切り出したので 男性を連れて別室へと移った。 一時間程し 部屋から出て来た春海に男性は 『宜しくお願いします....』 と泣きながら頭を下げていた。 エンバーマーって...? 俺は春海を呼び出し仕事の内容を聞くと、しばらく俺を眺めた
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